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彼はすぐに家の側に来てくれて、私は助手席に乗り込むとすぐ「啓さん」と彼の腕に顔を埋めた。
「舞」と啓さんは優しい声で呼び、頭を撫でてくれたけれど、「少し移動しようか」と気遣った。
母のことがあるからだろう。
私が腕を離すとすぐ、彼は私の手を握り直し、ゆっくりと車を発信させ、少し離れた位置でとまった。
「大丈夫だった?」
「うん。鍵閉めてきました」
彼が聞いているのはそういうことではない。
けれど、彼は笑った。
「もう熱はない?」
啓さんが私の額に彼の額をコツンと合わせた。
かかる息が熱くて、心が“啓さんだ”と感じ、喜ぶ。
「熱い?」
「ううん、冷たい」
クスッと笑った彼は私の唇に唇を重ねた。
久しぶりのキスに胸が震える。
大好きが広がる。
「もっとキスしたい」
彼の腕を少しだけ引っ張り、おねだりすると先ほどより少しだけ長めのキスが私の唇に落ちた。
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