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甘い熱は私を幸せにする。
唇と唇が触れるだけで、どうしてこんなに幸せになれるのだろう。
「啓さん」
「うん」
優しい顔を見ると安心する。
苦しくて落ち着かない心と不安が、逃げていくようだ。
先ほどまでのモヤモヤを不思議と今は感じない。
私は彼の手をとってパーを作り、自分の指に絡めた。
彼の大きな手に私の手が包まれる。
それは自分が女の子になった感じがして、好き。
「やっぱり私は啓さんが好き……」
「……やっぱり?」
啓さんが複雑な表情で笑った。
「あ、やっぱりなんてごめんなさい……。この前の日曜日、義兄の弟にピシリと断れなかった自分を思い出して……」
少し間が空いて彼が「そうなの?」とゆっくりと一度瞳を瞬かせた。
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