52人が本棚に入れています
本棚に追加
だから「大丈夫だよ」と理の頭をくしゃっと撫で、顔いっぱいに笑顔を乗せたけれど「本当に大丈夫だよね?」と理は、変わらず心配でいっぱいの瞳を向ける。
なんて優しい甥だ、と顔をにやつかせた。
「私は丈夫なんだよー」
そして、理の頬にツンツンと指で触れた時だった。
「お父さんも丈夫だったよ。お母さんだって丈夫だった」
「……理?」
理が悲しげに言った台詞に、私の手は固まった。
理の瞳にはうっすら涙が浮かんでいる。
両親の死というトラウマを煽っているのは間違いない。
“こういう時はどうすればいいんだっけ……”
これまで理が悲しみを表に出すことはなかったから、対策を考えていなかった。
「僕のせいかな?」
「……え?何言ってるの?」
「僕の身近な人がいなくなっていくのは僕のせいなのかな?
不幸の連鎖みたいなものを僕が起こしていたりして……」
「ちょっと、理」
「科学では証明できないようなことが、この世にはあるんだよね?
僕が悪いものを呼び寄せているのかな?」
「そんなこと……ないよ」
私は落ち着かせようと、とりあえず理の両頬を両手で優しく挟んだ。
最初のコメントを投稿しよう!