秘密がバレる時-2

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「おはようございます」 普段通りを心がけ、“アルマ”の裏口から店へ入る。 「おはよう」 マスクをしている直の表情はすべてはわからないが、覗く瞳と声は通常通り。 “よかった”と心で言い「昨日はありがとう」と笑った。 「もういいのか?」 「うん。もう元気!」 「そりゃよかった」 「うん。郁ちゃんは大丈夫なの?風邪?」 「熱風邪だって。舞と一緒だな」 「流行ってるのかな……」 悩み熱だと思ったが、そうではないかもしれない。 受験生の理をベッドに誘ったけれど、大丈夫だっただろうか。 でもきっと昨日一緒に寝たことは間違えではないはず。 「そうかもな。治ったばかりなんだから無理すんなよ」 「うん、ありがとう」 直は心配してくれたが、私の調子は良好で、忙しく売り場と厨房を行き来していた。 10時前、“アルマ”の扉が開く音がし、パンを陳列させていた私はお客様だ、と「いらっしゃいませ」と言いながら顔を向けたけれど、固まった。 「こんにちは」 それは啓さんだった。 「こ、こんにちは」 啓さんは笑顔を向ける。 笑い返したいけれど、それができず咄嗟に厨房の直を確認した。
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