思いがけない贈りもの

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鼻筋の通った品のいい啓さんの横顔は爽やかな朝によく似合う。 私はフロントガラスから見える景色と、彼の横顔を交互に確認するのを繰り返していた。 「毎年啓さんはゴールデンウィークは休みなの?」 「うん」 「5連休っていいですよね?」 「そうだね。お正月が正月特訓で一日も休めないからその代わりみたいな感じかな?」 「なるほど。ゴールデンウィークは毎年何をして過ごしていたのですか?」 そう言った私だが「あ、違う、今のなしで!」と自分から遮った。 「え、別に話してもいいのに……?」 「いや、だってなんか過去を掘り返すみたいで嫌だなと……」  せっかくの楽しい雰囲気を、ヤキモキした空気に変えたくない。 彼が5日間も色気なくだらだらと過ごしてるとは思えなかった。 私はいつの間にこんなにヤキモチ焼きになったのだろう。 驚きだ。 「過去って、大したことしてないよ?去年は弟家族に混じって遠出したのと、大学時代の友人と飲みに行ったくらいかな?」 それが伝わったのかわからないが、彼が教えてくれた。 「……そうなんだ」 「その前も似たような感じだよ。あとは、勉強してたなぁ」 「えぇ、お勉強?」 「うん。“進伸館”は年に2回講師も試験を受けるんだ」 「え、そうなの?」 「そう」 知らないことに瞳を瞬かせた。
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