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「まるでプロポーズみたいですよ」
声にも焦りが混じる。
「プロポーズ……そうだね」
「えぇ……」
ひどく驚いた。
けれど啓さんは少しも笑わないので真剣さは伝わる。
短期間で異性から二度プロポーズされ、二度告白され、私は今よくいわれるモテ期なのだろうか。
「理君がどんな選択をしても、僕は舞と理君を支えたいと思ってるよ」
何度もその言葉が頭で繰り返されている。
「すごい顔してるぞ」
バイトの時間、“アルマ”に行くと直に驚かれてしまった。
「寝不足で……でも平気」
私は元気ポーズをして、口の端を広げた。
「ふーん」
直はわざとだろうか、興味のないような顔をして「無理はするなよ」とだけ言った。
「うん、ありがとう」
郁ちゃんは今日も休み。インフルエンザだったらしいので、直と二人きりの時間は多くあったが、気が昨夜に逸れる。
休憩中も直と重なることはなかったが、少ししか気にならなかった。
私ばかりが悩んでも答えはでない。
「ねぇ、理は一番どこの学校に行きたいの?」
塾への移動中、聞いてみた。
「青付中かな?」
「そうなの?」
すると理は「まだわからないんだ」と小さく言い「けど……僕できれば櫻木家から通えるところに行きたい」と続けた。
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