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「ど、どういうこと?」
その声はやけに慌てている。
「そのまま、なんですけど……」
他にどう言っていいかわからない。
私の声は困っていた。
「そのまま……?」
「嫌、でしたか?」
すぐに“いいよ”と頷いてくれないので不安になる。
「嫌じゃないよ、全く」
「本当……?よかった……」
理からの贈り物を早速使えることが嬉しい。
なにより啓さんと長くいられることは嬉しいことだ。
彼とは火曜日の昼間のデートに加え、時々夜抜け出て会うだけ。
短い時間しか会えない。
最近ではもう少し一緒にいたいという欲が出てきていたところだった。
「泊まりたいホテルがあるのならおさえとくよ?」
驚いていたはずだが、乗り気な彼の様子にホッとしつつ「実は理と母から優谷ホテルのディナー付き宿泊券をもらったんです」と説明した。
「……なるほど」
「へ?」
「いや、それで僕を誘ってくれたんだね?」
「あ、うん。啓さん、行ってくれるんですよね?」
「もちろん。お誘いありがとう」
「こちらこそ」
こうして、私と啓さんの初めてのお泊まりデートが約束された。
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