最大の危機と最大の転機-2

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両親はお互いの顔を見合わせている。 “いいのかしら?”というところだろうか。 「甘えるのは申し訳ない」 父が言うと、母も「理、嘔吐を繰り返してると先生がおっしゃっていたわ……。きっとお車、汚しちゃうわ」と眉を寄せた。 たしかにそれは大変なことである。 少しも考えていなかった。 「車のことは大丈夫です。 お恥ずかしいですが、そこまで綺麗にしているわけではないので……。ご迷惑でなければ、ぜひ同行させてください」 また両親は顔を見合わせた。 「いいの?汚しちゃうかもよ?」 「大丈夫」 彼の顔は穏やかだ。 「お父さん、お母さん、啓さんはいいって言ってるよ?」 両親を上目遣いに見つめる。 「本当にいいのかしら……?でも、舞の運転は少し心配だわよね……」 「私は大丈夫です。お手伝いできれば嬉しいので……」 父の表情は頼りない。 「申し訳ない。お願いしてもいいですか?」   父の声は固い。 「はい。もちろんです」 人生なにがあるかわからない。 はじめは挨拶に来ただけだった。 まさか、啓さんの車に両親と乗ることになるなんて、少しも想像していないことだった。
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