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部屋がしんとする。
すると彼が、「舞さんのお父様お母様」と両親を呼んだ。
父の瞳が少し大きくなる。
「私は舞さんと去年のはじめ頃から真剣にお付き合いをさせていただいております」
だから私も「そ、そうなの真剣なの!」と付け加えた。
黙っていられないのが、私だ。
「舞さんは素敵な方で、僕から彼女を好きになりました」
“何を言うの?”と彼を見つめる。
彼は父に真剣な瞳を向けている。
「舞さんの理さんに一生懸命なところにとても惹かれました。
しかし、舞さんは理さんの保護者で私も講師という立場なので、気持ちを抑えようと思いました。
ですが、度々重なった偶然からプライベートの舞さんを知ることになり、ますます彼女を好きになりました。
私は気持ちが抑えられなくなり、好意を伝え、お付き合いの許可をいただき、今に至ります」
それに反応したのが母だ。
「望月先生のような方が舞を……?」
自分の娘に対し、失礼な感想である。
たしかに私だって謎だ。
10人いれば10人彼のことはカッコいいと思うだろうし、彼ならスーパーモデルでも手に入れられるに違いない。
想像するのは嫌だけれど。
「えぇ。舞さんのような素敵な女性は他におりません」
両親の前なのに、顔が“かぁ”と熱くなった。
なぜか、母の顔も赤らむ。
すると父が“んんっ”と咳払いをした。
「舞は理の保護者代わりです。舞と付き合っていくのは普通にはいかないでしょう?」
父が淡々とした口調で質問した。
「私が好きになりましたのは、理さんに一生懸命な彼女なので、普通がどうであるというようなことは気になりません。
実際お付き合いさせていただいて、とても幸せです」
啓さんがきっぱり言ってくれたことに感激した私は「啓さんね、“二番目でいい”って言ってくれたの」と口にした。
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