最大の危機と最大の転機-2

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“何を言うの……。そんなわけがないのに……” 「ち、ちがっ……!」 「違うわけないでしょう?」 悔しい。 けれど、怪しまれるに違いないのに、堂々とデートをしている私は悪い。 下唇を強く噛み締めた。 「甥っ子さん飛び抜けて優秀ですもんね。優羽なんて家庭教師もつけているのに……。望月先生もあなたもひどいわ。あり得ない……」 優羽ちゃんの母親が“はぁ”と大きくため息を吐いた。 「竹田さん、それは思い違いです。 彼の成績と私と彼女の関係は全く関係がありません。 彼が優秀なのは、彼自身の力です。私が個人的に授業をしたこともなければ、テスト問題を教えるなんて卑劣なことをするはずありません」 優羽ちゃんの母親の眉間がより険しくなり、皺が深く刻まれる。 「どうかしら、そんなの口ではなんとでも言えるわ。現に甥っ子さんだけ飛び抜けてるのがなにより怪しいもの……。 うちの主人は青付中出身なのよ。普通に考えればそちらより優羽の方ができがいいはずなのに、おかしいわよ」 優羽ちゃんの母親の最悪な妄想は止まらない。 激しく私の心は動揺している。 「受験は個人個人の問題です。ご両親とお子さまは別もので、成績は勉強したぶんだけ伸びていくものです。要領を掴む子、なかなか掴めない子と学習方法に差はありますが、テスト結果は個々の勉強の成果でしかありません」 声のトーンは抑えているが、彼の声は普段のものより強い。 優羽ちゃんの母親の前なので見つめられないけれど、怒っているような気がした。 「そもそも……彼は私と彼女の関係すら知りません」 優羽ちゃんの母親の視線が今度は私を見つめる。 反射で二度首を縦に振った。
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