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「そんなに気になるなら舞も入ってきたら?」
うずうずする心を読み取られたよう。
「え!」
大きく反応する私に父が視線を向けた。
ぶつかる視線がぎこちない。
「わ、私、お風呂なんて啓さんと入ったことないから!」
それは本当である。
入ったことにあるのはホテルのジャグジー、それも水着着用だ。
何も言われていないのに、否定すると父が“んんっ”と咳払いをした。
「誰もそんなこと聞いてないわよ」
母がおかしそうに笑うが、私は少しも笑えない。
「そうだ、舞、望月先生に着替えを持っていってもらえないかしら?」
「え?」
「お父さんのものなのだけれど、望月先生より背は低いけどLサイズだから大丈夫だと思うわ……」
父の視線はもう私から逸れていた。
「うん」
「あ、それと買い置きをしていた下着があるからそれも渡してきてね」
下着に反応したのかもしれない。
父とまた視線がぶつかる。
「了解!」
なんて、気まずいの……。
私は父の視線から逃げるように、彼に服を届けに浴室へ駆けた。
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