真っ直ぐな思い-2

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保護者会の時、夫も青付中だと自慢していたのは忘れていない。 今も理をバカにされたことは胸を痛く刺すことだから。 それに、怒り散らした時も忙しいと話していただけだった。 まさかだ。 まるで結び付かない……。 「妻は娘の成績について前々から悩んでおりました。 これもお恥ずかしながら娘に聞いた話なのですが……塾だけでなく、家庭教師に対しても不満は多いようで、何度も教師をかえては娘にあてているようです。 妻はきっと、娘と比較し優秀な生徒である理さんを羨んでいたのだと思います。 それでこのようなことに……」 夫婦間での教育方針が違うのだろうか。 話し合いがまるでされていない。 少しの沈黙のあと、父が「そうですか……」と相づちをした。 中学受験は家族のサポートが必要だと多くの本に載っていた。 それも受験生の心の環境を整えるのに、母親の温かなサポート力はかなりの影響力を与えるらしい。 それを見たとき、私は頑張らなきゃというプレッシャーを感じと同時、理がホッとできるような包容力も必要だと強く思った。 優羽ちゃんの母親の心はプレッシャーばかりで余裕がなかったのだろうか。 それであんな横暴な態度を見せたのだろうか。 そう考えると、少しだけ結び付いた気がした。 「しかしどんな理由があるにせよ、妻のとった行動は許されるものではございません。 大切な時期ですのに皆様には大変ご迷惑おかけしました事を深くお詫び申し上げます」 優羽ちゃんの父親の歪んだ顔が見えなくなる。 胸が苦しく痛んだ。
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