41人が本棚に入れています
本棚に追加
啓さんはゆっくり瞳を瞬かせただけ。
私の話を聞く姿勢を見せる。
「私、よかったって思えないの。
私たちのせいなのに……。
このまま何もなかったフリして、啓さんとイチャイチャできない……」
彼がゆっくりと小さく頷いた。
彼は私の両手を取り、そっと包んだ。
「せめて、受験が終わるまで塾講師と保護者の関係に戻らない?」
今さらかもしれない。
もっと早く提案していれば……と思うけれど、きっと優羽ちゃんの母親のあの感じだと、信じてもらえなかっただろう。
それでもだ。
「折り目をつけるってことだね……?」
彼がゆっくりとした口調で確認した。
「……うん」
「そうだね。舞の気持ちは僕も……わかるよ」
彼がより包む手の力を力強くした。
「啓さんのことはずっと好き」
「うん」
彼の頬が優しく緩む。
「ただ、三ヶ月間だけ。三ヶ月だけ前に戻って電話と、会うのと、我慢しよう……?」
私は彼の手の指先をギュッと掴み、真っ直ぐに見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!