真っ直ぐな思い-2

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彼の瞳も真っ直ぐに私を見返す。 「そうした方がいいと思うの……」 瞳が微かに揺れた。 彼の顔は疲労感を隠して見える。 その顔に僅かに乗せた微笑みを見つめていると、胸がほろ苦く痛んだ。 「……わかった」 彼が頷くまで少し間があった。 「……うん」 痛みで胸がいっぱい。くらくらする感じがした。 「舞のご両親にも伝えないといけないね」 一応婚約期間の私たちだ。 そういう話も先伸ばしということになる。 「……ありがとう」 私は啓さんの手を振りきって、彼に抱きついた。 「ごめんね」 「僕こそ心を悩ませて……ごめん」 「ううん」 私は彼の胸に顔を埋め、滲む涙を彼のシャツで密かに拭いた。 その日、改めて啓さんが我が家に訪れ、私たちの決断を両親に話した。 二人は悩ましげな顔をしながら“二人で決めたことなら”と見守る姿勢をとった。 ちなみに理には秘密にすることにした。 “お受験ママ頑張るぞ”と新たに意気込んだ私だが、翌日の夜にはもう寂しさを感じた。 啓さんとはデートこそできなかったが、電話はほぼ毎日し合っていたためだ。 自室の机に飾ってあるチンアナゴの置物まで寂しそうに見える。
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