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「うん。それでこの間のテスト、私現国で80点取れたからお母さんがご褒美に買ってくれたんだ。すっかりはまっちゃって……」
李緒は大げさに溜息を吐いた。
「小学生男子か……」
「高校生女子だよ?」
李緒が言った頓珍漢を訂正すると彼女は蟀谷を押さえて唸った。大丈夫だろうか、もしかして彼女の方こそ体調不良なのだろうか。
「李緒、大丈夫?」
彼女の身を案じて顔を覗き込んだ。すると彼女は目を細めて微笑した。だがその眉がひくひくと動いている。どうやら怒っているようだ。何故だ?
「アンタに悪意がないのは長い付き合いだから知ってるけどさ。ソレ、煽りになってるわよ」
「そうなんだ。ごめん」
素直に謝罪すると李緒も気を取り直した様子だった。
「それでどんなゲームなの?アンタの事だからユルい育てゲーとか?」
「画面の向こうの顔も知らない仲間達と聞くに絶えない罵詈雑言をメッセージで飛ばしながら銃やナイフで殺し合うゲーム」
「ユルくない!?」
「うん、そうでもないよ。最初は攻撃的なメッセージだった人も私が女子高生だって分かると急にねちっこくて気持ち悪い感じに態度を変えてくるよ」
「あんたまさか、会う約束とかしてないわよね」
「する訳ないじゃん。折角他人と会わないでゲーム出来るのにそのメリットが台無しじゃん」
「あんた人見知りだものね」
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