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小学校に上がってからその傾向は顕著になった。幸い、李緒という幼馴染が居たので孤立して虐めに遭う事は無かった。学校で小さなグループ内で同級生が楽しげに喚く愚痴や嫉妬、他人の粗探しに曖昧な笑顔で馬鹿みたいに首肯する程度の世間知は持ち合わせていた。
それにしても生きていくのは斯様に大変な物かと辟易した。苦界とは昔の人は上手く言った物だと感心した。
自分と相手の関係についてならまあ分からなくもないが、相手がどのような交友関係を持っているのかについても彼女らはしきりに気にして、干渉する事さえあるのだから。誰々が誰と仲がいい。自分と仲が悪いあいつとは喋るな。など人間関係など彼我の間で完結する物だと思っている私には理解できない理屈を立ててくるのだ。
それに誰々がどんな依怙贔屓を受けたとかどんな失態を犯したなど、そんな噂話に尾ひれを付けて喧伝する様が私には理解不能だった。『他人は他人、自分は自分』という箴言を知らぬのかと内心で見下していた時期もあったが、幼少期特有の潔癖な傲慢さと悟った今思い返すと顔が熱くなる。
とりわけ、中学時代の社会科担当の女性教員が酷かった。
彼女は俗にいうフェミニストだったのだろう。彼女は男性社会において女性が被っている不平等を是正せんと戦う聖戦士であり、無神経に横行するミソジニーを駆逐せんとミサンドリー発言で生徒たちに度々演説をぶっていた。尚、誠に惜しい事に彼女は三十路ではなく五十路だった。
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