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臆病者の恋
私には物心ついた頃から会いたくて仕方ない。けれど会うことが怖い人が居る。
いや、怖いとは違うのかもしれない
だが…やはり会いたくて会いたくない
なぁ、山吹
やっぱり君はもう一度出会ったら怒るだろうか
怒るだろうな。
だけど、君が居なくてはやはり寂しい──
「おーとーはぁー、朝だよ!ほらほら起きて!朝飯食うよ!!」
「煤竹…うるさい。だから、私の繊細な鼓膜が召されるって言っているだろう。あと重い。私を圧死させる気か」
「おはよ、音羽。で、今日は何時に寝た?」
もう毎朝恒例となった、煤竹の朝の奇襲とこの会話。
隣に住む煤竹は幼馴染であり、おかしな話だが前世と言える時からの知り合いだ。
固く太い紙質の髪は自由になりすぎてあちらこちらに跳ねており、どんな時もしまらない狸顔の童顔。
だが、なんだかんだ言って人の感情には鋭くよく見ていたりするコイツは私の事にも鋭い。だから日頃あまりしっかり眠れていない事も早い段階で気付かれてしまい以来、朝の恒例となってしまった。聞いたからと言って寝かせてくれるわけでもないが、本人が言うには『どの程度限界か知らなきゃ無理やり落とすタイミング分かんないじゃない?』という事らしい。
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