三つの盆

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その宮殿の主である父親は、苦い顔をしていたが、しかたなく、娘と約束していた「あれ」を盆に持ってくるよう、指示した。 数分後、緊張の面持ちの奴隷が持った盆の上には、真っ黒な髪と髭、真っ赤な目と、白い唇をした男の首が載っていた。 あまりのグロテスクさに、来客たちはどよめき、眉をひそめつつ、好奇心むき出しでしばらく眺めたが、すぐ飽きて、関心を示さなくなった。 今日一番の見世物は、これでおわりである。
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