第1章 箱庭の外へ

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第1章 箱庭の外へ

神は箱庭の中にあらゆるものを創った 箱庭を舞台にした物語はとても面白く 見ていて飽きなかったのに どういうわけか最後には悲劇が起きた 誰かが次の舞台に神様は要らないと言った 人々は神様を捨てた 神のいない新たな箱庭で次の舞台が開幕した 神様が好きだった楽しい物語が始まった 偉大な魔女が生まれて物語は大きく進展した ほどなくして世界中に魔法が広まり どういうわけか再び悲劇が起きた 誰かが次の舞台に魔法は要らないと言った 人々は偉大な魔女を捨てた 捨てられた神は深い眠りについた 捨てられた魔女は3度目の世界を眺めた そこに神はいなかったし 偉大な魔女もいなかった それでもその歩みは悲劇に進みつつあった 人々は何も学ばなかったのだ ー神を信仰すれば争いが起こり ー魔法が広まれば争いが起こり ー科学が発展すれば争いは起きるのだ 捨てられた魔女はそれを愚かだと思った きっとこの世界も終わるのだ 平和は姿を晦ました 世界は終に平和を諦めた 箱庭の外では 次の犠牲について話し合いが開かれた 皆は口々に 科学を捨てるしかないと言った 科学は身の潔白を訴えた 騒がしくなる中で 誰かが それならば 人間に相談しようと言った 要らないものを決める為に 勝手に相談相手に選ばれたのは 世界に嫌気がしていた青年と 冷たい世界をそれでも愛した1人の少女であった 未知の世界に招待された彼らは 要らないものを選択する前に お互いを知ることを望んだ 司るものたちの住む不思議な場所で 捨てられた魔女と共に答えを探す旅に出る 小さきもの達は各々に彼らに声をかけた 笑うもの、怒るもの、悲しむもの 科学は人間が大嫌いだと言った 川のほとりには置いて行かれた永遠が佇み 壊れた時計台には過去と未来が存在した 多くの不思議な出会いの中で 彼らは何を得て何を思うのか 次に捨てられるべきは人間なのか 世界の根本に疑問を抱いたとき 司るものたちの真実にたどり着く これは想いを巡る物語
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