10秒後の近未来

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璃久は困ったような表情を浮かべている。 あたしは、努めて明るく振る舞った。 「なに、湿気た顔してんのよ」 「…高木の気持ちは嬉しいけどさ」 高木…? あ、美少女の名前は確か高木さんっていったな。 そんな事を思い出していると 「でも、断ったから」 「へっ?」 つい、素っ頓狂な声が漏れる。 「な…な…なんでよ」 動揺が隠しきれない。 ちょっと躊躇った後、璃久はきっぱりと言った。 「俺、他に好きなヤツいるし」 え、ちょっと待って。そんなの初耳。 「だ、誰?」 知りたくないけど、聞かずにはいられなかった… 璃久が好きな女の子の名前を。 「分かんない?」 「そんなの分かる訳ないじゃん!  うちのクラスの女子……  …え?」 突然目の前に浮かぶ映像。 怒ったように顔を真っ赤にした璃久が 両手であたしの肩を掴む。 そして、そのまま顔を近づけ――――― 璃久の柔らかい唇があたしの唇に重なった… …って、なにこれ?
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