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璃久は困ったような表情を浮かべている。
あたしは、努めて明るく振る舞った。
「なに、湿気た顔してんのよ」
「…高木の気持ちは嬉しいけどさ」
高木…?
あ、美少女の名前は確か高木さんっていったな。
そんな事を思い出していると
「でも、断ったから」
「へっ?」
つい、素っ頓狂な声が漏れる。
「な…な…なんでよ」
動揺が隠しきれない。
ちょっと躊躇った後、璃久はきっぱりと言った。
「俺、他に好きなヤツいるし」
え、ちょっと待って。そんなの初耳。
「だ、誰?」
知りたくないけど、聞かずにはいられなかった…
璃久が好きな女の子の名前を。
「分かんない?」
「そんなの分かる訳ないじゃん!
うちのクラスの女子……
…え?」
突然目の前に浮かぶ映像。
怒ったように顔を真っ赤にした璃久が
両手であたしの肩を掴む。
そして、そのまま顔を近づけ―――――
璃久の柔らかい唇があたしの唇に重なった…
…って、なにこれ?
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