10秒後の近未来

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――――――――――…… 最初に目に映ったのは、真っ白い天井。 ここは…? そして、心配そうに覗き込む璃久の顔。 あれ…? 「音羽!  気が付いたんだ…良かった…」 安堵の表情を浮かべ、ふぅっと長い息を吐いた。 「ここ、何処?」 ベッドに身体を横たえたまま、視線だけで辺りを見渡す。 生成り色のカーテンで仕切られた、見たこともない部屋。 「病院。  お前、貧血でぶっ倒れたんだよ」 「…貧血?」 あたしは、校庭にいて、璃久と両想いだったって分かって… それからーーーー 高木さん!! 「ね、璃久。高木さんは?」 あたしの問い掛けに、眉尻が下がった。 「あの時…周りにいた奴らと高木の事  取り押さえたら、あいつも気ぃ失っちゃって」 璃久の切れ長の瞳が宙を仰ぎ見る。 「意識が戻ってからもしばらく錯乱状態で  何も覚えてないって、泣きじゃくるばかりでさ…  嘘ついてる様には見えなかったけど」 訳分かんないよな…と呟き、首を捻った。 もしかしたら… 高木さんは、あたしに降りかかった ”大きな災い”に巻き込まれただけなのかもしれない――――― そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
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