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そんな璃久が突然うちの道場に入門したのは
小5の春。
何度聞いても、理由を教えてくれなかった。
隠し事をする璃久が憎らしくて、本気で打ち込み
コテンパンに叩きのめしてしまった事もしばしば…
でも、璃久が理由を口にする事は無かった。
中学生になると、小さかった璃久の身長はぐんぐん伸び
あっという間にあたしを追い越していった。
色白の肌と可愛らしい笑顔は健在だったが、
広い肩幅と鍛え上げたしなやかな体躯には昔の面影など
微塵も感じられない。
あたしは、中学入学と同時に剣道を辞めて美術部に入部したが
璃久は剣道部に入り、どんどん上達していった。
なんと、中3の時には県大会優勝の栄冠に輝いたのだ。
文武両道、容姿端麗。
いつの間にか璃久はあたしの助けなど
必要としない、素敵な強い男の子に成長していた。
そんな璃久を遠い存在に感じながらも
なんとか今まで、"幼馴染"の関係を続けてきたのに…
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