10秒後の近未来

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そんな璃久が突然うちの道場に入門したのは 小5の春。 何度聞いても、理由を教えてくれなかった。 隠し事をする璃久が憎らしくて、本気で打ち込み コテンパンに叩きのめしてしまった事もしばしば… でも、璃久が理由を口にする事は無かった。 中学生になると、小さかった璃久の身長はぐんぐん伸び あっという間にあたしを追い越していった。 色白の肌と可愛らしい笑顔は健在だったが、 広い肩幅と鍛え上げたしなやかな体躯には昔の面影など 微塵も感じられない。 あたしは、中学入学と同時に剣道を辞めて美術部に入部したが 璃久は剣道部に入り、どんどん上達していった。 なんと、中3の時には県大会優勝の栄冠に輝いたのだ。 文武両道、容姿端麗。 いつの間にか璃久はあたしの助けなど 必要としない、素敵な強い男の子に成長していた。 そんな璃久を遠い存在に感じながらも なんとか今まで、"幼馴染"の関係を続けてきたのに…
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