記憶漂流記

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 その海の底とはどんな所だろうと水に顔をつけて下を覗くが、深みはくすんでいてよく見えず、魚影も無い。顔を上げ、空を見ればやはり雲一つ無く、ただ頭上に丸い光源があるだけ。 「ひょっとして、俺はもう死んでいるのか?」  海と空に挟まれた、私という意識だけがここに存在し、それが永遠に続くだけだとしたら、いずれ、あの恐ろしいサメにさえ愛おしさを感じることになるのかもしれない。 「まてよ?そもそも私は存在するのか?」  愕然として、私は水に浸かった腕を上げ、掌を見る。 「足は?」  潜り込んで足を引き寄せて足裏を見る。何も変わった所は無いが、ある筈もない。例えば私は流木で、あるいは死んでいて、残った意識が夢を見ているのだから。  ずっとこのままなら、宇宙の夢でも見てみるか。  
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