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「おめでとう。あなたは一万回の人生をまっとうしました。さぁ、あの赤い扉を開けて下さい」
「扉? ――変わった形の扉じゃのう」
「フフッ、そうですね。ここには色んな時代の人が来ますから」
「その――開けると一体どこに繋がっておるんじゃ?」
「大丈夫。怖い事なんてありませんよ」
林田はそう言うと五平を赤い扉の前に立たせ、自ら赤い扉を開け放つ。
中から光が溢れ、あっという間に五平は光の中へと姿を消した。
林田は青い扉を閉めるとデスクに戻る。
林田は壁に並んだモニターの内、真っ暗になったモニターを見ながら深く椅子に座った。
「いや~、一つのチャンネルが終わるのって、達成感を感じるね」
林田はそう言うとパソコンの画面をまた、美尾のチャンネルに切り替えた。
「ちょっ!? 何で? いつの間に手を繋いだの? あ~見逃した~。――クソッ、あの五平の野郎めッ!!」
林田はまた食い入るように画面を見る。
そして美尾の人生を楽しむ。次の『死者』がやって来るまで。
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