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飯田美尾は気が付くとそこに立っていた。
全く美尾には見覚えの無い部屋。
天上も壁も床も真っ白。
殺風景な印象の中で二つの扉と一台のデスクだけが違った。
扉は赤と青の二つ並んでいるし、デスクには生活感が溢れている。
デスクにはパソコンと乱雑に積まれた書類が乗り、その隙間から靴が覗いていた。
美尾は状況が飲み込めず、辺りを見回しギョッとした。
デスクの向かい側、美尾の後ろ側の壁には沢山のモニターが埋め込まれていた。
そこに映し出されているのは人、人、人。
仕事中だったり、食事中だったり、十六才の少女には目を覆いたくなる様な人も。
(と……盗撮?)
だが美尾はすぐにそうじゃないと分かった。
盗撮にしては自然過ぎ、何よりバレずに撮影するには無理な角度ばかり。
「青い扉だよ」
突然の声に美尾は驚いた。
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