お兄ちゃんを探す女の子

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 ちょうど2000年くらいの話だったと思います。三十半ばの僕が専門学生だったときの話です。  僕が通っていた音楽専門学校には幽霊が出るという校舎がいくつかありました。正確には幽霊が出る通りですね。  僕の学校は高田馬場中にいくつもの校舎を持つ学校で、その校舎の中でもある通りに面した3つくらいの校舎に幽霊の目撃例は集中していました。  その通り、かつて空襲でものすごい数の人が亡くなったんだそうです。そこは出る通りとして僕の周りでは有名な場所でした。  学校の関係者が口をそろえてあの通りの校舎は出るというだけでなく、後にアルバイトをしたスーパーマーケットの従業員で高田馬場から下落合あたりの古い話に詳しい人も、あの通りでは出るんだと僕に教えてくれました。  僕が学校に通い始めたばかりの頃、その通りに面した古いアパートに住んでいました。トイレは付いていましたが風呂は無し。本来六畳程度の一人部屋だったのですが、先に住んでいた兄のもとへ転がり込む形で僕も入居しました。  夏休み頃には新しい二人でも住める場所へ引っ越そうねと、話していたその夏休みの体験です。  その部屋は何か嫌な雰囲気のある物件でした。古くてエアコンもついておらず不快だという以前に、何か妙な気配がする部屋なんです。木造のこういっては失礼なんですが超オンボロアパートで辛うじて水道は引いてありますが、ガスもなく炊事はボンベのコンロでするんです。  当時は貧乏で、兄も私もバイトもしていませんでしたから、毎日銭湯へ行くことも出来ず。入学当初のまだ肌寒い時期にはコンロで沸かしたお湯で、洗髪だけは毎日していました。とにかく家賃が安かったのでそんな部屋に住んでいたんです。
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