3.みぶろ

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「くそ、早い!」  男たちはくるりと振り返って琉菜を睨んだ。 「あんたらが遅いんだよ」  琉菜はそう言うと間髪いれずに片方に体当たりした。 「うぐっ!」  そして男が取り落とした木刀をつかみ、胴の位置を思いっきり打った。  男はバランスを崩し、ドサッと倒れた。 「お、おい!…このやろ!」  もう片方が木刀で向かってきた。  琉菜はそれをさっと受け流し、ガンッと木刀を打って相手に取り落とさせた。  琉菜は木刀の切っ先を男の鼻につきつけ言い放った。 「男なら、約束は守ってくれますよね?」 「は、はい…」  男はのびているもう片方をむんずと抱えて、猛ダッシュで逃げていった。 「怪我ないですか?」  琉菜は店内に戻り、にこりと笑った。 「へ、へぇ。おおきに。強いんどすなぁ」 「いいえ。あいつらが弱いだけです」 「そう言うたら、お客はんの名前、聞いてへんかったどすなぁ」 「あたしは、宮野琉菜と申します」 「お武家の方どすか?それでそんなにお強いどすのんか…?」 「は、はあ。まあ…」  そっか。この時代名字があるのはそれなりの身分の人だけだった。  面倒だからこれから何かあったら名前だけ名乗っとこ。 「うちは多代いいます。どうぞよろしゅう」     
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