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あれから2年。
琉菜はその後も練習を重ね、ついに全国優勝という悲願を達成したのだった。
試合会場からの帰り道、鈴香は心底感心したように言った。
「ホンマにすごいわ。前から強いなあ思うちょったけど、まさか全国優勝してしまうなんてな」
「あったりまえじゃん!なんせあたしの剣は」
「『本場の武士に習っとったんやから。』じゃろ?」
鈴香が琉菜の言葉を受け、にっと笑った。
「あんたの決まり文句やけの。ったく、強いな言われてあたりまえやて返すなんて…琉菜には謙遜ってもんがないんじゃな」
「大きなお世話ですよーだ」
「とにかく、よかったなぁ。沖田さんへのいい土産話になるやないの」
鈴香はいいことを思い付いた、という顔で琉菜を見た。
「そうかなぁ?あたしの剣なんて、沖田さんからみればまだまだ未熟だよ」
「そんなに強いんか、沖田総司は」
「うん、なんたって天然理心流の師範代で、新選組最強といわれた剣客だからね」
「さすが、そのこととなると詳しいな」
琉菜はふっと笑った。
あれから、琉菜は新選組や沖田総司に関する本を読みあさった。
もっと彼等のことを知りたい、その思いだけで、普段は読書などしない琉菜が数十冊の本を読むことができた。
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