卯月

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 二枚目も男の子だった。線は少しだけ細くなって、画面の中の男の子が一歳歳をとったことが、右下に書き入れられた日付からわかった。  一枚ずつめくっていくごとにタッチは少しずつ上達して、絵画に切り取られた男の子は一歳ずつ歳をとっていった。表情は少年から青年へと変化していき、無邪気なだけの笑顔には憂いが匂ってくるようになった。記されている日付は皆、夏真っ盛りの八月だった。  画用紙を手繰って、七年の月日が経過した。絵の中の男の子はだいぶん大人びて、画力もかなり向上した。一番うまいルイと同じか、それより少し下くらい。  吸い込まれるように、次のページをめくる。構図が変わった。正面から切り取るだけだった七枚とは違い、机に伏して眠っている姿を描いていた。日付も四月になっていた。眠りこける姿がほのぼのとした雰囲気で描かれていた。  次の一枚は、笑っている横顔。きりっと引き締まった顔面に浮かぶ柔和な笑みは、心を引きつけた。今までの七枚と比べ、途端に絵の魅力が増した。 切り取られる場面は日常空間へと移った。ソファで眠っている姿、風呂上がりにタオルだけ巻いて冷蔵庫を漁っている姿、机に座る後ろ姿、テレビを見ている姿……     
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