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俺の同期は忠犬ぽち公
静まりかえったオフィスは節電のため三分の一しか電気が点けられていなかった。
「あーうー……立地は完璧なんだよなあ、うーん」
その電気が点いている島の真ん中でぶつぶつ言いながらまだ残業をしているのは同期のぽちだった。
こいつってそんなに仕事熱心だったっけか、なんて考えながら俺はぽんと軽くぽちの肩を叩いた。
「なーにやってんの、お前。どーせもう課長も見てねえのに」
ホスピタリティがどうのこうのと独り言を続けていたぽちが、びくんと肩を跳ね上げて慌ててエスケープキーに指を走らせて俺に振り向いた。
「びっ……! くりした、ってなんだお前か」
その慌てぶりにまさかこいつ誰もいないのをいいことにエロ動画でも見てやがったのか、なんて思って画面を覗き込んだが、そこにはなんの変哲もない都内の地図がフルスクリーンからほんのひとまわり小さく表示されているだけだった。
まあぽちだしな。いくら誰もいなくても職場でエロ動画なんて見るわけが……って、あれ? 都内の地図?
ふと俺は妙なことに気がついてぽちと画面を交互に見つめた。
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