あの頃の僕

神様がくれたチャンス

僕がイルカさんと一緒にサメから逃げている頃は、ほとんどの人がお昼で海から上がっていた。
「きゅーきゅきゅ！！」
僕にはその鳴き声がまるで、
「大丈夫だよ。僕が君のことを待っているところまでつついていくから！！」
と言っているかのように聞こえた。
その間にもサメと僕達の間は狭まっていく。
「あともう少しだよ」
その時、僕は何かを思い出しそうだった。何だろう、どこかで同じようなことがあったような…
「きゅーーーー！！！」
「何！！どうしたの？」
次の瞬間イルカは、勢いよく浮き輪をつついた。浮き輪に捕まっていた僕はしっかりと砂浜に足がついた。僕は海から上がるため必死に走った。
僕は、砂浜に着いたらすぐ後ろを見た。その時にはもう、イルカの姿はなく海には大きな波紋だけかあった。