記憶のない幽霊

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「いやぁぁぁ!」 瞳が恐怖に目を見開き、悲鳴を上げたとき、幽霊はオドオドした態度で、もうわけなさそうに瞳に言った。 「ご、ごめんなさい。 脅かすつもりはなかったんです。 僕はただ、僕が見える人がいたことがうれしくて…」 「何言ってるの? あなたって、幽霊でしょ?」 やたらと低姿勢な幽霊に戸惑いながら、瞳は幽霊に話かけた。 「確かに僕は幽霊です。 でも僕は、どうして自分が幽霊になったのかわからないんです」 「幽霊になった理由がわからないって、どういうこと?」 「僕も自分が幽霊だってことはわかります。 でも、自分が死んだ理由がわからないんです」
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