断片二 拵え

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「拵えちまったもんは仕方ねえ。孕み屋を待つしかない」 タツゾウは振り向いてチョウジの顔を見ながらそう答える。 こんなところで管鰻を使ってしまう羽目になるとは、とタツゾウは思った。おまけに孕み屋も頼まないといけない。 うまく立ち回ったとしても今回の稼ぎから、期限の迫っている借金の返済をしてしまうと手許に残るのはわずかだ。と、おおざっぱに頭の中で計算をする。チョウジは怒るだろうけれども、儲けがあるだけましか。 「今回の分はオリツの分け前から差っ引くんだろ」 金勘定にうるさいチョウジだけあって、タツゾウよりも先に細かく勘定計算をしていたようだ。 「いや、それはしない」 考えるよりも先に言葉が出る。 「こんなことは織り込み済みだ」 「わかった」 とチョウジはあっさりと引き下がった。 金勘定にはうるさいが、文句を言ったあとでタツゾウが決めたことに対し、チョウジは言い返したことはない。 「すまない、タツゾウさん」 とオリツが弱々しい声であやまる。 「お前もわかっているようにここには孕みはいねえ、孕み屋を呼ぶしかねえが、来るまでには時間はかかる」 オリツの方に振り返りタツゾウは言う。 「俺の見立てじゃまだ一日二日は大丈夫だと思うが、孕み屋が来るまではきついぞ」     
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