実話怪談

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「ここは出るよ」 その本屋でアルバイトを始めた当初から、その話は聞いていた。 人の気配を感じるとか、誰もいないのにドアが開閉するとか。 1番鳥肌が立ったのは、店長代理が閉店後に事務所へ戻ろうとした時に、レジカウンターに置かれていたパンフレットが突然落下したことだった。 常にレジカウンターに置かれているパンフレットが突然落下したことなど、これまで1度もない。 その話を聞いた翌日、私がレジをしていると突然、店員を呼び出すチャイムが鳴り始めた。 このチャイムはレジカウンターにしか設置されいないけれど、私は触れておらず、勝手に鳴り始めたのだ。 「呼んだ?」 店長代理に聞かれた私は左右に首を振った。 「違います。呼んでいません」 答えながらも真っ青になった。 「まぁ、よくあることだから」 店長代理は何でもないようにそう言ったが、それから数回に渡り押していないチャイムが鳴った。 もしかしたら以前レジ内で店員が倒れ、助けを呼ぶために何度もチャイムを鳴らし、もがく内にカウンターのパンフレットを落としたのではないか。 そんな噂が、今も働いているこの本屋には存在している。
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