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「なっ、なんでだよ!? 俺は外見でイリーナを選んだわけじゃねぇし! 性格と酒に強いところが気に入ったんだからな!」
むきになって恥ずかしいことを堂々と叫ぶ百瀬さんと、そんな彼を生温かい眼差しで見る私たちの構図に、事情を知らない丸ちゃんは首を傾げるしかない。そこでイリーナのことを簡単に伝え、店に置いてあるタブレットで撮った彼女の画像を見せると、丸ちゃんはそのべっぴんさんぶりに目をまん丸にして驚き、それからアハハ! と大笑いした。
「笑ってごめんなさい。で、でも……ホントに説得力ない。なさすぎです……!」
明るい笑い声につられて、私から星ちゃん、それから陽ちゃんへとおかしさが伝染していく。百瀬さんは「笑うな!」とご立腹だったけれど、本気で怒ってるわけじゃないことはみんながわかっていた。
ひとしきり笑い合い、丸ちゃんもすっかり元気を取り戻したみたい。「こんなに声を上げて笑ったのは何年ぶりだろう?」と涙を拭きながら思い返している。
一杯目のシャンパンから白ワインへシフトした星ちゃんは、そのスッキリとしたドライなおいしさと丸ちゃんの笑顔にホッと一息つくと、静かにグラスを置いた。
「そうそう。新聞で読んだんだけど、一人暮らしは栄養が偏りやすくて、太りやすい環境らしいよ。俺もそうだけど、一人分を作る時間的余裕やモチベーションがないと、どうしても好きな物や出来合いの物ばかり食べてしまうし、そのことを注意してくれる人がいないからね。だから俺は自炊が嫌になると、ここへ来て食べるか、誰かを誘って食事することにしてるんだ。あまり一人ぼっちで食べないように。丸ちゃんもそうするといいよ」
ああ、なるほど。星ちゃんが時々食べに来てくれるのは、そういう理由もあったんだね。
確かに一人だと良くも悪くも自由に食べられるからなぁ。とりあえず私は間違いなく一人暮らしNGなタイプだ……!
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