4.ウエディングケーキと幸せのドラジェ

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 私だったらとっくにヘトヘトになっているところだけど、そこは完璧主義の英理姉。自分の体調管理も万全なところがすごい。曰く、「きちんとすべてをマネジメントしないと、そっちの方がストレスになるのよね」だって! むっちゃんも完璧主義タイプだけど、英理姉の方が上手だ……。  ちなみにウエディングケーキ作成の講師は孝輔。ウエディングケーキといえば結婚式に無くてはならないものだけど、そのルーツは世界各国いろいろとあるらしい。  たとえば古代エジプトでは、蜂蜜と小麦粉は貴重品だったため、この二つを使ったお菓子をお祝いの品として贈ったという説。古代ギリシャだと小麦粉で作ったビスケットを細かく砕き、子孫繁栄、穀物の豊穣を願って花嫁の頭にかける風習に由来する……とか。これは花嫁的にはちょっと嫌だけどね?  またまたギリシャのロードス島では、結婚式の時に出されていたジンジャーブレッドが後にフルーツケーキとなり、それが今日のウエディングケーキの元になったとか、悪魔は甘いものが嫌いなので、ケーキを置くことで魔除けにした、とか。  はたまた結婚する資格があるかどうか、花嫁が拵えたビスケットを出席者に食べてもらい、その出来映えを判断してもらった、というアメリカの小さな村の風習が元になった説などなど、他にも聖書や神話に由来する説も数多あるんだって。結婚式の歴史は人類の歴史と言ってもいいくらいだから、そりゃあたくさんあるわけだ。  英理姉がケーキを自作したいのは、さまざまな由来や縁起担ぎもさることながら、なによりもゲストの皆様をおもてなししたいから。準備してもらうのは簡単だけれど、自作したものとでは思い入れも当然違ってくるもんね。素晴らしい式にしたいという英理姉の熱意がビシバシ感じられる。
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