4.ウエディングケーキと幸せのドラジェ

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 それから三日後の五日、金曜日。    予想通り忙しかったゴールデンウィークも後半戦。今日は平日だけれど、お休みのお客さんもいれば、普通にお仕事のお客さんもいて、なんだか祝日より忙しかったような……? ランチの営業は混雑を極め、葉子おばちゃんにもヘルプしてもらったくらい。あの時間帯、美杜町で一番人口密度が高かったのは間違いなくミクリヤだっただろうな。  その余韻か、ディナーの営業はフリーのお客さんがたくさんご来店。コースの予約が少ないから少し油断してたけど、考えてみればゴールデンウィークのお出かけ等でみんな疲れているもんね。そんな時はやっぱり『ごはん作りたくなーい。レッツ外食!』となる場合が多いのだろう。店としては売り上げもあがるから大歓迎だけど。 それに今日は孝輔もいてくれるから、忙しくなったとしても問題ない。女性のお客さん相手だと若干トークが長くなってしまうのが玉にキズだけど、いてくれるのといないのとでは気持ち的に全然違う。どんなに忙しくても笑顔を絶やさない孝輔の接客態度は、私も大いに見習わなくちゃ。  さて、フロアの柱時計が七時を指す頃、入り口のドアベルが鳴って予約していたむっちゃんと英理姉がやって来た。といっても今日は二人きりではなく、英理姉のお兄さん家族も一緒。お兄さんたちは東京在住で、ゴールデンウィークを利用して遊びに来ているみたい。お兄さんとは結納の時以来で、奥様とお子さんたちは初対面。また来週お式でこちらへ来ることになるわけだから五月は大忙しだ。  英理姉のお兄さんは(じん)さんというお名前で、キリリとした顔立ちが英理姉とソックリ。奥様の美帆(みほ)さんは逆にほんわかした優しい感じの人だ。
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