4.ウエディングケーキと幸せのドラジェ

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お子さんは二人で、長男の遼大(りょうた)君が五歳、次男の遼真(りょうま)君が四歳。どちらもかなりのヤンチャ坊主で、席に案内してもじっとしていることはなく、カウンターに置いてあるお子様ランチのアイスのトッピングを手に取って見てみたり、スツールに座ってクルクル回ってみたりと忙しない。  そんな二人が最も興味を示したのは孝輔。仁さんより背の高い人が珍しかったのか、「パパよりでかっ!」「巨人だー! ガリバーだー! とらえろー!」と大騒ぎ。 もうこうなったら孝輔はガリバーになるしかない。子ザルのようにくっ付いてよじ登ってくる二人に「ふっふっふ……小人たちめ! オレ様を捕えられるなら捕えてみるがいい!」とノリノリだ。  うん、なんていうかな。子どもウケが良さそうだってことは前からわかっていたけど、もしかすると同レベ……ゲホゲホッ! い、いや、なんでもないです。これも孝輔の素晴らしいコミュニケーション能力の賜物です。  こんなに元気な二人だから、奥様の毎日がどれほど大変かは容易に想像がつく。注文の料理をサーブした時にそれとなく話を振ってみると、実感がこもりまくった様子で何度も頷いた。 「本当にそうなんです。ちょっと目を離すとすぐどこかへ飛んで行ってしまって……。この間も遊園地で行方不明になりましたし、こちらへ来る途中でも自転車とぶつかりそうになったんですよ。元気が有り余っているから、何かスポーツでもさせようかって主人と相談しているところなんです」  うんうん、そうだろうなぁ。この年齢って一番チョロチョロしちゃう時期なんだよね。分別がついてくる上に自我も芽生えてくるから、なかなか言うこと聞いてくれないし、いろんなことに興味を持つし。
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