4.ウエディングケーキと幸せのドラジェ

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 そんな彼らだけど、お子様ランチを食べる時はとってもお行儀良く食べていて、美帆さんも自分の食事を楽しめたみたい。デザートのアイスクリームを持って行くと、待ってました! とばかりにカウンターへ駆けて行き、真剣な表情でトッピング開始。この兄弟は何をするのにも集中するタイプみたい。 樫崎家は芸術を解する家系なんだろうか? お兄ちゃんの遼大君はチョコシロップとキャラメルシロップ、それからココアビスケットで五歳とは思えないほど過不足のないクールなデコレーションを完成。孝輔が驚きを持ってそれを褒めたたえると、まだ思いどおりに出来ない遼真君は途端にご機嫌ななめになっちゃった。 でもそこはガリバー孝輔。何を使いたいのか遼真君に聞きながら、シロップやチョコスプレーが入った容器を持つ小さな手を掴み、あくまで控えめにアシスト。こちらは遼大君とは180度違い、ホイップクリームやカラーのチョコスプレー、フルーツソースでとってもカラフル。本人もすごく満足そうに顔を紅潮させてニコニコしている。そしたら今度は遼大君が「こーすけをひとりじめするな」ってへそ曲げちゃう始末。  孝輔のどんなところが彼らを惹きつけるのかは不明だけれど、とにかくガリバー孝輔が大好きになってしまった二人は、食事が終わって店を出る時も「帰りたくない!」と脚にしがみついて離れず、挙句には仁さんと美帆さんに孝輔を東京へ連れて帰ろうと提案したくらい。また来週に結婚式で会えるから、と孝輔が宥めたけど……。 本当にずいぶんと気に入られちゃったんだなぁ。孝輔も見送りながら、「これが幼稚園児じゃなく、カワイイ大人女子だったら言うことないのになぁ……」と乾いた笑み。 大丈夫だよ、孝輔! 結婚式でステキなマヤー・ハローシャヤとの出会いが待ってるよ! ……たぶん。
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