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本来は孝輔に負けないくらいポジティブな成田さんだから、少しのキッカケで好転できたみたい。これもイリーナがお花を買いに行くという小さなキッカケが始まりだものね。やっぱりポジティブはポジティブを引き寄せるのかしら。
「じゃあ当日は成田さんも式場に来てくれるんだよね? 兄ともどもよろしくお願いします」
むっちゃんに成り代わってご挨拶すると、成田さんは慌てて席を立ち、恐縮したように深々と頭を下げた。
「こちらこそよろしくお願いいたします! 英理子さんのブーケだけでなく、お兄様のブートニアと、ブライズメイドさん方のリストレットも作らせていただきますので」
あら? ブーケはわかるけど、ブートニア? リストレット? 初めて聞く単語にキョトンとすると、成田さんは俄然イキイキとした表情で教えてくれた。
「ブートニアというのは、花婿さんが衣装の左胸に挿す花飾りのことです。ブートニアはフランス語で『ボタン穴』という意味で、その名のとおり襟のボタン穴のところに留めたり、左胸のポケットに挿したりするんですよ」
へぇ! 単に胸元が寂しいからお花を飾るのかな、と思っていたけど、ちゃんと名前があるものなんだ。
「リストレットは、お花をあしらったリボンのことで、手首につけて花嫁さんのブーケとお揃いっぽくすると、統一感と華やかさが演出されるんです」
そうなのかぁ。ということは、私の分も作ってもらえるわけだよね。楽しみ!
「生花だと壊れたり傷んだりするといけないので、アーティフィシャルフラワーという高品質の造花で作ることになります。ブートニアにはステキな言い伝えがありまして、ヨーロッパでは昔、男性がプロポーズする際、好きな女性に花束を贈ることが一般的だったそうなんです」
ふむふむ。
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