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せり自体は鍋の具材として全国的にも使われると思うけど、仙台のせり鍋は葉や茎の部分だけでなく、根っこの部分まで食べるのが最大の特徴。出汁は鶏がらや鰹節、昆布などいろいろで、醤油、みりん、酒などで味付けし、具材はネギ、ゴボウ・鶏肉や鴨肉などお好みで。シャキシャキとしたせりの食感と、旨みの効いた出汁の相性が抜群で、すごくおいしいの。私も大好き!
「締めは? 締めはなんですか!?」
カウンターへ前のめりになりながら問うと、百瀬さんはただでさえ鋭い眼を細め、冷凍光線が放たれるのでは? と思うほどの冷ややかな視線を寄越した。
「このせり鍋は、せり鍋が大好きな陽さんのために作ったんス。桜木さんはあくまで相伴に預かる身。締めの決定権があるとでも思ってるんですか? ……ったく、厚かましいったらありゃしない」
……。百瀬さん、両想いになった私たちを見て涙した時とは別人のような鋭さですね……。というか? なんだか以前より言葉に含まれる毒が強くないですか!?
そう訴えると、大皿にこんもりとせりを盛り付けた百瀬さんは、呆れたようにハッと冷たく鼻で笑った。
「当たり前じゃないですか。畏くも陽さんの彼女になったんですから、きちんとした相応しい女性になってもらわないと困ります。そのために俺がビシバシ鍛え上げますから。目指せ、ポヤヤン脱却です!」
くっ……! 確かに不釣り合いなのは否めないけど、ただでさえ厳しかったお義母さま──もとい、百瀬さんが更にパワーアップするとは……。
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