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「ありがとう。まだ五週目に入ったばかりなのよ。初めての妊娠だし、一般的には大丈夫だと言われていることでも、私の身体がどんな反応を起こすかはわからないから、リスクがありそうなものはできるだけ避けようと思って」
ああ、なるほど。だからネイルやコーヒーを控えているのね。
「これは、タンポポコーヒーとか、タンポポ茶と呼ばれていて、タンポポの根を焙煎した飲み物よ。ノンカフェインで身体を温める効果があるし、女性の体にとっても優しいの。しばらくの間コーヒーはお預けだわね」
そうだよね。赤ちゃんのためにも、英理姉の身体のためにも用心に越したことはない。
「むっちゃん、喜んだでしょう？」
その質問で当時のことを思い出したのか、英理姉はウフフと口元に手を当てた。
「ええ、とっても。だけど、最初は信じられなかったみたいで、自分で何度も身体中をつねったりしてね。それでも信じられなくて、私に『思いっきり引っ叩いてみて』って言うのよ。仕方なく言うとおりにしたら、ソファから転げ落ちちゃって……。そのまま子どもみたいに玄関まで床を転げ回って喜んでたわ」
キラキラと喜びに輝く双眸を目の当たりにしていると、私までジーンと胸が熱くなってくる。
英理姉の左手薬指に輝く婚約指輪。ちょっと個性的なデザインなのは、むっちゃんが自らデザインしてオーダーメイドしたものだからだ。
いいなぁ……。英理姉、とっても幸せそう。花嫁オーラに加えて、早くもママのオーラが漂っているみたい。
私と陽ちゃんはまだ始まったばかりで、今後のことは全然わからないけれど……。今の英理姉のように結婚式の準備を楽しんだり、赤ちゃんができた喜びをかみしめたりする時がやってくるのかな……？
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