追憶~君を忘れない~

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追憶~君を忘れない~

 私の通う中学校に、一ヶ月間だけ居た転校生。つまらない毎日に、君は変化をくれた。あの時のことは、十年経った今でも忘れない。 その日は、五月にもかかわらず、蒸し暑い日だった。教室は朝からざわついていた。 「転校生が来るんだって」 「男子かな、女子かな」  クラスのみんなは口々に話していた。本当なら、私もこの会話に入っていけるはずだった。  私は去年まで、クラスのリーダー的存在だった桃香のグループにいた。しかし、ちょっとしたことが原因でグループからハブられてしまった。  それは、中学二年の一学期、中間テストの前だった。私の通う中学校では、テスト期間二週間前からクラブ活動が停止になり、勉強に集中できる。しかし、テスト期間にもかかわらず、桃香たちはカラオケやファミレスに行ったりして、遊んでいた。私も最初は一緒に行っていたが、テスト勉強もしたかったし、毎日となると、私のお小遣いでは正直きつかった。私はそのことを桃香たちに打ち明けた。 「テスト期間だし、勉強しようと思う。毎日行くのは正直きついし……。桃香たちも一緒に勉強しようよ」     
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