遺書

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 ふと思い立って、明日死のうと思いました。  突然、考えたことではありません。ずっと死にたい、とは思っていました。  けれど、実行には移せなかったのです。  日々が苦痛で、死んでしまいたいと思うほどであっても、まだ死ぬことにはためらいがありました。  もし、今抱えている問題が解決するのなら、私は死にたいとは思わないでしょう。  それが分かっているから、行動には移せませんでした。  問題は、職場の人間関係にありました。  良くあることです。そこに職場環境の悪化が重なって、もう身動きが取れなくなってしまいました。  今の時代なら良くあることです。  職場の体制変更。会社から暗黙の命令のように押し付けられる持ち帰り残業。それを補うような「見込み残業手当」。でも規定時間を越えても保証してはくれません。形ばかりの管理職の肩書が、それを正当化させるのです。
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