秀次切腹

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「関白秀次殿、高野山に登るには、大そうな随行人数、随行の者少し減らしてもらいたい」  その日は玉水に泊まったが、そこまでは二、三〇〇騎のお供が従っていた。石田三成から多すぎると指摘され、九日には小姓衆一一名と東福寺の僧虎岩玄隆のみが付き従った。 「まるで、単衣、単衣を剥ぐように」 家臣もらす秀次にはなされるがままの、魂の抜けた関白だった。  移動する途中で秀次左遷のお見舞いの飛脚が次々とやってきて賑わいを見せった。 「関白殿、何があったのだ。」 心配そうに駆け寄る家臣と近親者と信頼できる同僚武士らが心配そうに秀次一行に取り囲む 「えいー、周りの者、邪魔になる。ひかえいー」  駒井重勝および益田少将と連絡を取って見舞いを送らないように通達が出された。 こそ夜は興福寺中坊に泊まった。一〇日、高野山青巌寺に入り、この場所で秀次は隠棲の身となった。 矢継ぎ早に変わる、身の変わりように 「余は、一体どうすればよいのじゃ。」  側近の者に問うが 「要領が得ないのでわかりませぬ」 家臣もこの後どうなるのか予測が出来ず、 「このまま、なすがまま、なされるままか」 秀次は動揺する。  この出家の際に道意と号したと言わ
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