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時には友梨子にどさくさに紛れてしがみついてくるから、仮にオシャレなイケメンであっても、幻滅してしまうことがあった。
さらに、友梨子が中学生になってからは、都会の人たちが別れの挨拶をする際、自分のメアド先が書かれたメモ用紙を渡されることも多い。何の恥ずかしげもなく。
そのようなメモ用紙はあの人たちが去って行ってから、すぐにゴミ箱へ直行した。
友梨子の母は自分の娘がこのイベントに対して、あまり好印象を持っていないことは知っている。
けれども、地域を挙げてのものであるので、自分のところだけ参加しないということが出来ないもの現実である。
だから、友梨子には本心では嫌だと思っていても、表面上は笑顔でいてほしいと願っていた。
「そろそろ行ぐよ、ママ!」
「いってらっしゃい、友梨子! 今日は大阪から高校生が来るらば、愛想よくしなダメやで!」
「わかってるよ、ママ! じゃあ、行ってくるべ!」
友梨子は気だるそうに家から出て、自転車で田んぼと緑の山に囲まれた道をこいでいった。
目の前の風景が田んぼよりも家が多くなり始めた時、大原まさみが友梨子を見つけた。まさみは長い茶色の髪の毛をなびかせながら、友梨子と並んで自転車をこいでいた。
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