第一章 星空編

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最後に、紀伊國屋書店で修学旅行の時に散策する札幌や函館についてのガイドブックをパラパラと立ち読みをした。 浩也の周りにいる人たちの服装が徐々に薄くなり、思わずチラ見をしてしまうようなセクシーな格好をしている女の子が増えてきた。 それにつれて、自分の中に秘めている、男子高校生ならではの純粋な欲望が少しずつあふれ出す。 『可愛い子と付き合いたいなあ! と言っても、俺はイケメンちゃうし、人を惹きつけられそうな特技はないし、なんせ俺の周りは男だらけ。はあ、なんで男子校にはいっちゃったんやろ……』  華やかな梅田の繁華街から出て阪急中津駅の方面に歩き、近くに大きな予備校がある公園のベンチに座ってコンビニで買った缶コーヒーを片手にため息をついた。 この公園には巨大な桜の木があり、三月の終わりのころになると、その巨大な桜を中心に公園の周りの桜が咲き乱れ、春の訪れを教えてくれる。 浩也はその桜の木をじっと見つめた。 毎年、自分自身の心の中を観察しながら、桜の木をぽ~っと見ることが大好きだ。  しかし、高校生になってからは、この綺麗な景色を自分の大好きな人と見たいという気持ちが少しずつ出てきた。     
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