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「お前、今時のJKにそんな恋愛観を話しても、笑われてひかれるだけやで。恋に(永遠)や(運命)を信じている奴と同じレベルやで。付き合ってから、言えよ! あ~、おもろ」
試験終わりの学生で混み合っているファミレスで周りに聞こえるぐらいの声で二人が話しているので、他の学生が浩也たちの方を向いた。
そのことに琢磨が気づき、二人を落ち着かせようとしても、二人の世界は周りのものと隔離されている状態であった。
「そういうお前は付き合ったことはあんのかよ?」
「地元のあの子だろ、俺の姉貴の友達だろ、京都の女子校の子だろ。男子校に行ったって、出会いはあるもんやで!」
浩也は、自分と同じ残念な境遇だと思っている琢磨の方を向いた。
「同志よ!」
「残念だが、昨日梅田のスカイビルで告白して付き合うことになったんだ。すまんな」
浩也はへなへなと力が抜けるように椅子にもたれた。二人が自分の知らないところで恋人を作っていた現実が浩也には受け入れられないようだ。
「まあ、何人、女と最終段階に持ち込んだかが男の勲章になるんやで?」
「おいおい、最終段階とは何や?」
「ここで言わすな、琢磨」
「お前、それは少しあれだぞ。おい、浩也? 起きろ!」
琢磨に揺さぶられた浩也はゆっくり起き上がって、琢磨の顔を見つめた。
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