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「お前ら、俺が知らんうちに勝手に女を作りやがって。俺は作りたくても、出会いがねえんだよ」
完全に落ち込んでいる浩也に、琢磨がニッコリ笑いながらファームステイ先からの手紙を広げ、浩也の方に向けた。
「浩也、お前にもチャンスがあるかもしれんぞ?」
三人でその運命の手紙を読んでみた。ファームステイ先の人の手書きの手紙には自分の家族のことやペットのこと、自分たちの住んでいるところの良さを事細かに書いている。
「ほら、家族構成を見てみ。おじいちゃん、おばあちゃん、自分、夫、そして、娘だぞ! これはきたぞ?」
琢磨の言葉に、ナメクジのようにしおれていた浩也の顔に生気がみなぎってきた。
「もしかしたら、もしかしたら、その娘が同年代で可愛かったら俺にもチャンスがあるんかな!?」
「そうかもしれんな」
「感動した!今まで生きてきた中で一番感動した!」
周りにかまわず、バンザイをして歓喜に浸っている浩也に恭平は冷たく言った。
「まあ、可愛かったらとっくに彼氏なんておるやろ。おらんくても恋愛未経験者のお前なんて選ぶわけがないやろ」
「そんなんやってみなわからんやん!」
昔、流行っていたネタをしながら、琢磨に乾杯する浩也を見て恭平は苦笑いをした。
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