第一章 星空編

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そんな二人と対照的に、親によく新幹線で旅行に連れて行ってもらっている琢磨は、廊下側の席に座り、ウォークマンを聴きながらPS Vitaでモンハンをしていた。   浩也たちが新幹線に揺られながら目的地に向かっている一方、浩也たちのファームステイ先になる岩手県奥州市ではにぎやかな雰囲気に包まれていた。  毎年恒例となっているとはいえ、若い子が少ないこの地域では一大イベントである。 しかし、そこに住んでいる黒髪ショートヘアの女子高生、吉見友梨子にとっては、ただのめんどくさいと嫌いという感情が交わった行事でしかない。 地域の人々はこのイベントを自分たちの地方を都会の人たちに宣伝できるチャンスだと前向きに考えているが、友梨子の見るこのイベントの現実は良いものではなかった。  自分の家の場合は、広大な畑を学生たちに紹介し、薪割りや農作業の手伝いをさせる。 都会の高校生たちは最初は初めてのことで新鮮味があるのか一生懸命頑張るのだが、ほんの少し動いただけで、疲れたやとかしんどいとか言って、すぐにサボろうとする姿を小さい時からよく見かけた。  夜は星を見に、街灯がほとんどない道を歩くのだが、都会の高校生たちはビクビクしながら、早く家に帰りたいという醜いアピールをする。     
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